第5章 栄光の目前 〜決勝トーナメント準決勝〜
●藤堂 天● 〜東京体育館〜
ホラー映画の作中。
もしくは、ホラーゲームの発生イベントにおいては、頻繫にこんなことが起こる。
ディスプレイに映るは、一般的に“生存者”と称される存在。
そして画面内に映し出された光景が、全体的に暗いところから考察するに。
生存者は室内にいるのだろうか?
ところが突然、生存者の目元にピンポイントで光が当たる。
生存者は、その眩しいさに思わず目をつぶり。
動揺を表しながらも、ゆっくりと目を開ける。
すると…
生存者の目の前には、なんと、明るい陽の光が差し込む出口がある。
それを見た生存者のセリフと言えば。
決まって「た…助かった…!」なんだ。
どれほど長い時間、暗がりにいたのだろうか?
生存者を苦しめたその分だけ、光は強く。
暖かく生存者を生還の道へと誘う。
しかし、その先に待つ結果だって、いつも同じ。
生存者に、未来を選択する余地は与えられない。
出口であると疑わず、駆け出したその先が。
実は悲惨な最期へと向かう入口だとは、微塵も思わずに。
文字通り、最後の力を振り絞って駆け出した生存者の希望は、虚しくも打ち砕かれる。
その肉体とともに…
以上を要約すると…
早い話が、“フラグ”だ。