第3章 表があれば裏がある
●?? ??● 〜東京体育館〜
「2人とも乱暴なんスから〜」
白銀の少女が、両足が地面についたことに安心したのと同じ頃。
それまで、キャプテンの男の子と同様に、白銀の少女の奪い合いを見ていた男の子がそう呟く。
それと同時に…
「ひゃっ?!」
「女の子は大切に扱わなきゃ
ダメじゃないっスか。
そんなことも知らないんスか?」
自分に背を向けている少女の肩に手を回し、自分の方に引き寄せるように抱きしめた。
後ろに向かう力に引き寄せられた白銀の少女は、急なことにビックリしたようだが、バランスを崩すことはなかった。
彼女自身の身体能力の賜物なのか。
それとも、すぐ後ろで受け止めた男の子の胸板のおかげなのか。
「おいテメェ!
どさくさに紛れて何やってんだ?!」
「軽々しくそいつに触るな!」
ついさっきまで白銀の少女を腕に抱え込んでいた2人の男の子は、チームメイトに後ろから抱きしめられた白銀の少女に手を伸ばす。
「2人ともズルいんスよ!
さっきいっぱい
抱きしめてたじゃないっスか〜」
「ふぇ?!だ、抱き…?//////
そ、そんなんじゃないよ!/////」
チームメイトからの略奪を阻止すべく。
男の子は少女を後ろから抱きしめたまま、見事な身のこなしで回避する。
2人の男の子に向かって、ベー!と舌を出しながら。
「ダメっス!俺のっスから!」
「僕は誰のものでもない!」
大きな身体に包み込まれた白銀の少女は、男の子の声を上書きするように大きな声を出した。
それでも男の子の方は、少女を手放す気は全くないらしい。
というのも、抱きしめた時以上に。
ピッタリとくっついているのだから。