第3章 表があれば裏がある
●?? ??● 〜東京体育館〜
「そんなのオレが許すかよ!!」
目の前のその光景に、居ても立っても居られなくなったのか。
血の気の多い男の子が、そう言いながら大きく一歩踏み出し、その両手で宙に浮いた白銀の少女を抱え込むように腕を伸ばした。
「テメェごときがなにやってんだ!」(((グイッ
「黙れ。触るな。」(((グイッ
2人の男の子に、両サイドからお姫様抱っこをされるような体勢になった白銀の少女は、その表情に困惑の色を更に深める。
「ふぇ〜?!!
今度はなんなのよ〜!」
その声は届くこともなく、2人の男の子は少女を奪い合うのに夢中だ。
その対決に付き合わされている白銀の少女は、男の子たちが腕を引き合うたびに横に揺さぶられる。
だから…
「ぎ…ぎもぢわるい…」
酔ってもおかしくはない。
いま実際そうなってるみたいに。
「お前らやめろ。
試合前に彼女が倒れてしまう。」
「「 え? 」」(((ピタッ
白銀の少女の異変に気づいたキャプテンの男の子が、目の前の2人に声をかける。
その一言で、瞬時に動きを止める2人。
視線を、2人の間のちょうど真ん中に落としてみると。
自分たちの腕の中で、白銀の少女がグッタリしていることにやっと気づいた。
「「 しまった!! 」」
男の子たちは腕の中の白銀の少女の容態を気にするように、優しくゆっくり地面に下ろした。
こういう場合は、すぐに意見が一致するんだな?
「た…助かった」
そう思って安堵の溜息を漏らしたのも束の間。
白銀の少女には悪いが、これで終わったわけではないようだ。
少女は休む時間も与えられず。
またしても次の災難が降りかかる。