第3章 表があれば裏がある
●?? ??● 〜東京体育館〜
それは、男の子たちの元に少女の声が届く少し前のこと…
若い選手を取り込んだ会場のロビーは、人とともに多くの声が行き交っていた。
自らの声が掻き消されてもおかしくない環境で、とある1人の女の子は精一杯に声を張っていた。
「ごめんなさい!関係者です。
通してください。」
声の元をたどり、
人の波に目を凝らすと…
選手の間を縫うように、
小柄な少女が通路を走る。
「すみません!通ります!」
それまで視認できていなかった人も、その少女がそばを通ると、思わず振り返らずにはいられなかった。
それは、自分の背丈に比べてずっとずっと小さい少女が、この場にいる理由が気になったからではなく。
その少女の、あまりの美しさに目を奪われたからである。
「あ!いたいた!!」
自分がこの場の注目の的であることに。
周囲から向けられた視線に気づく様子もなく、少女は再び駆け出した。
長く美しい白銀のような髪。
透き通るような色素の薄い白い肌。
頬はポッと明るんで、目はぱっちりと大きい。
そしてそのガラス玉のような瞳の色は、
片方が西に沈む夕陽。もう片方が澄み渡る高い空。
同じ人間だとは思えないほどの輝きを放っていた。
「みんな!お待たせ〜!」(๑>◡<๑)
そう言って少女は、一つの団体の中に
生き生きと飛び込んでいった。
「おぉ!やっとお出ましか!!」
白銀の髪の少女を迎え入れたその団体は。
中学生にしては背が高い、男の子ばかりで構成されていた。