• テキストサイズ

宵闇の明けと想ふは君だけと〈中学編〉

第3章 表があれば裏がある


●?? ??● 〜東京体育館〜


「ったく!アイツどこに行きやがった?!」


試合を控えた選手で溢れるロビーで、1人の男の子がついに痺れを切らした。


「なんで目ぇ離すとすぐにいなくなんだよ?!」

「騒ぐな。焦っても仕方がないだろ。」


その様子を見て、同じ装いの別の男の子が、宥めるように口を開いた。
横にいる血の気の多い男の子より、幾分か冷静を保っているようだ。


「大丈夫っスかね?
 まさかトラブルに巻き込まれてたり!」


目の前の2人の様子を見て、自分も不安を煽られたのか、また別の男の子が焦ったような声を出した。


次の瞬間には、たちまち言い争いだ。


「んだよ!
 テメェーは心配じゃねぇってのかよ?!」

「そんなことは言ってないだろ。
 ただ、俺たちが慌てても
 しょうがないって言ったんだ。」

「どうするんスか?!
 もし事故にでも巻き込まれてたら!!」


3人の男の子のこれまでの様子から見て、どうやら誰かを待っているようだ。


それも特別に大切な人を。


すると、3人の会話の中に。
またしても誰かが介入してきた。


「いや、アイツなら大丈夫だ。」


それは、他の3人に比べ特段大人びた様子の男の子。
その子は、柔らかい声で他のメンバーを宥める。


「ああ見えて、いざと言う時は
 シッカリしてる奴だからな。」


その言葉通り「なにも心配はいらない」と、絶対的な自信が男の子の表情からも伺える。


「それに、僕の予想だと
 そろそろ到着するはずだよ?」


「ほんとかよ?そんなの信用ならねぇな。」と、真っ先に待ちくたびれて、まだ見ぬ待ち人に対して怒りを向けていた男の子が再び口を開いた。


だが、そう言い終わるより先に。


?「みんな!お待たせ〜!」


誰に向けたか分からない言葉が、4人の男の子たちの耳に届いた。


女の子の声で…


けれど、そこにいる男の子たちにはすぐに分かった。


「おぉ!やっとお出ましか!!」


その声の持ち主こそ。
待ちに待った人だと。

/ 276ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp