第3章 表があれば裏がある
●?? ??● 〜東京体育館〜
敷地中に広がっている、流れという誰が作った道の一つに乗ると。
一際大きい体育館が口を開けて待ち構えていた。
入り口をくぐったその先には、太陽の光とはまた違う灯りが、煌々とその内装を隅々まで照らしている。
しばらく進むと、一際ひらけた場所に出た。
天井は高く、いくつもの扉や通路があるあたり、ロビーだということが伺える。
2階席へ上がる螺旋階段を登れば、そこからこの場全体を、余すことなく一望できるのだろう。
選手たちの間を掻い潜って先へ進むと、“受付”と書かれた机があり、大会関係者であろう役員が椅子に腰掛けている。
机の上には名簿らしきものと、山積みにされた大会パンフレット。
大会役員に話しかけるのは、決まって大人たちだ。
学生である選手に代わって、諸々の手続きを進める、大会出場校の顧問であることは間違いないだろう。
そんな大人たちのやりとりを尻目に、幼い選手たちはロビーの椅子に座って談笑したり。
学校ごとに端の方で固まって待機したり。
単独行動をして、自分の精神統一に全力を注いだり。
各々が思うままに行動し、体育館への扉が開くのを、今か今かと待っている。
ところが、ある瞬間を境に。
そこにいる選手たちの視線は、たった1人の少女に注がれることになった。