第3章 表があれば裏がある
●?? ??● 〜東京体育館〜
色とりどりのジャージに身を包んだその体は、逞しいながらも学生らしい幼さが感じられる。
やはり中学生だ。
出身、性別、年齢は違えど。
彼ら選手が目指すものは決まってただ1つ。
全国一位という栄光だ。
各地で勝利を勝ち取ってきた者だけが、立つことを許された最高峰。
学校を、地区を、ブロックの名を背負って。
会場への道のりを一歩一歩踏みしめる。
全国一位を決める会場に選ばれた体育館はたちまち、若き選手たちの憧れの地へと変化した。
元々の規模の大きさを抜きにしても、その建造物は、普段より神々しさを背負っているように見えた。
ある者にとっては、何度も訪れた場。
ある者にとっては、初めての場。
ある者にとっては、リベンジの場。
そしてある者にとっては、最後のチャンスの場。
その心中には、100人いれば100通りの感情があるのだろう。
ただ一つ分かることと言えば。
ここに集った面々は、誰しもが敵ということ。
これから始まる大会で、一戦一戦で勝利をもぎ取り、勝ち上がって日本一の名を語れるのはたった一校のみ。
一つの玉座に、十数の学校。何十人もの選手。
その比率は、学生にはあまりにも残酷過ぎる。
にも関わらず、この場にいる者は誰一人として、下を向くものはいなかった。
学生は学生でも、ただの学生ではない。
全国への切符を勝ち得た者たちだ。
それは学生に対する世辞や天麩羅ではなく、紛れもない事実。
事実は自信を作る。
自信は次への勇気へ変わる。
ここにいる全員。
紛れもなく強者だ。
負ける気は、端からあるはずがない。