第5章 栄光の目前 〜決勝トーナメント準決勝〜
●藤堂 天● 〜東京体育館〜
『おい強く叩き過ぎだ馬鹿!!』
そう言いながら、勢いよく振り返った先にいたのは…
「おい!見てたかよ天?!
あたしのミラクルシュート!!」
右手の親指を立てて、それを自身の方に向けて誇らしげに笑う史奈だった。
やっぱり史奈だった。
さっきの鈍い痛みも、こいつのせいだ。
っていうのもこれ、“日常茶飯事”なんだ。
史奈は自分が点を取るたびに、ことごとく私の背中に紅葉を残していく。
『見たに決まってるわ!
ボールから目ぇ離すわけねぇーだろ!!』
「なっ?!ボールだけじゃなくて
あたしを見ろよ!」
『どんな我儘だよ!センターの横の
さらに横で踊るアイドルか?!!』
しかも、この“日常茶飯事”。
全っっっ部私に降り掛かってくる。
謎に他のメンバーには絶対にしないんだ。
何故か私の背中だけに全力投下してくる。
被害を受けたことのない他の奴らは、「史奈からエースに、嬉しさのお裾分け」だとかブライダル風にぬかしていた。
だけど何度考えても、完全に他人事で気に食わないし。
史奈(元凶)は改善する気ナシだから腹立つ。