第5章 栄光の目前 〜決勝トーナメント準決勝〜
●藤堂 天● 〜東京体育館〜
『“姫”と“生贄”はニアリーイコール
みたいなもんだろ?』
「なに?!そうなのか?!」
やっぱ鵜呑みにしちゃうんだよな、史奈(こいつ)は。
『いや、知らねぇーけど』
「分かんねぇーのかよ?!」
「「 ( 姫 ≒ 生贄 ??) 」」
こういうところを見ていると、史奈はいつか変な詐欺に引っかかりそうで心配だ。
別にお人好しってわけでもないし、何かに執着するほどの欲も持ち合わせていない。
だとしてもだ、“傾向”だけの話をするとして。
史奈が詐欺に引っかかる度合いを九段階で言うと、“上の中”くらいの確率は持ってると思う。
だから、引っかかる脅威は割とガチにあるんだ。
「結局“姫”なのかよ?“生贄”なのかよ?!」とかいう、正味どうでもいい話を続けていると。
その会話の終止符を打つかのように。
図らずも集まっていた私たち4人の中に、別のやつの声が聞こえてきた。
「ほらね~?!」
「『 ん? 』」
その声がしてきた方向…
自陣側から聞こえてくる声を辿って、視線を送ると。
こちらに向かって駆け寄ってくるのは…
あぁ、“待機”。
違った詩織。