第6章 二人?でアオハル
【視点】
ホテルの朝食で長い脚を組み、コーヒーを啜っている悟さんはどこか不機嫌そうだった。
かっこつけてるくせに飲んでるコーヒーにはスティックシュガー2本は入っている。
不機嫌な理由はもうわかってる。
「じゃあ、傑。と楽しんで。」
「あぁ。観光してから帰るよ。悟も生徒と頑張って。」
にっこりお互い笑ってるけど、どこか悟さんには棘があるし、傑さんは嫌味が入ってる気がした。
生徒たちのための研修なのに、私がそばにいちゃ呪霊たちは近寄らないしで、意味がない。
結局私と私の護衛の傑さんは離れて行動することになった。
ならば、別にもう2泊3日で泊まる必要もない、ということで…
一日観光して東京に帰ることになったのだ。
「頑張って、先生。」
ホテルの前でトドメにもう一度手を振りいう傑さんに、私はヒヤヒヤとした。
「じゃあ、先に帰ってるね。頑張ってね、悟さん。」
私は邪魔になるのだから仕方ない。
申し訳なさそうな感じを必死に出しながら、私は悟さんに手を振った。
「えーさん帰るのー!?明日の自由時間に京都の買い物誘おうと思ってたのにー!」
「ごめんね…?また……」
東京で行こうねって言おうと思ったけれど、私は勝手に出歩けない。五条悟の弱点がほいほい街中歩いたりなんて出来ないのに、そんな約束はできない。
「また一緒に行けばいいよ。」
と、悟さんが続けてくれた。
悟さんがそう言ってくれたのだから、きっと大丈夫なのだろう。
私は笑って野薔薇ちゃんの手を取った。
「悟さんがいいって言ってくれたから、また行こう?」
「彼氏の束縛こっわ。きも。」
「はは…そんなんじゃないんだけどね。」
野薔薇ちゃんの悟さんへの印象最悪なんだな…なんて思いながら、私は彼らに手を振った。