第20章 もう一度貴方と (番外編3の2)
私のことを玩具だとか、暇つぶしだとかいうくせに、平安の時はいつも助けてくれてた。
嫌味を言うし、蹴飛ばしてくるけど、私に戦い方や呪力の使い方を教えてくれた。
裏梅ちゃんだって、ご飯を作る要員だとかいいながらそばに置いた。
忌み子で人から疎まれ、迫害され、復讐に生きた貴方だったけれど、私は貴方を救いたかったーーー
「…っ…」
舌を絡め、うっすらと目を開けると、私を見つめる宿儺と目があった。
ドクンと心臓が大きく高鳴った。
「…っ!」
私は自分の大きな心臓音に驚いて宿儺から離れた。
「……?」
ドクドクとなる心臓に、私は自分の心臓を手で押さえた。
「。」
名前を呼ばれ、顔を上げると、宿儺が私の目元に口付けた。
「あれ…」
私は泣いていた。
「今の貴様じゃ暇つぶしにもならん。」
腰に手を回され、宿儺は私の涙を舐めとるように舌を頬に這わせた。
優しい…
私は頬を宿儺の肩に乗せ、甘えるように擦り寄った。
暖かい宿儺の体温に、何故自分はいま泣いてしまったのか考えてみたけれど、私にはよくわからなかった。
「もう少しだけ…こうしていたい。」
宿儺は拒否をすることも返事をすることもなく、ただそこにいてくれた。