第1章 二人は一緒
歩きながら話そう。と言われ私は彼の後ろをついて歩いた。
この世は呪いで溢れてるって、ことから始まって、彼はずーっと難しい話をしていた。
「要するに。」
だんだんとわけがわからなくなってきて、聞くのを諦めようかと思っていたが、彼がそう言ったので私は彼の横顔を見つめた。
「敵はキミを利用して僕に攻撃を仕掛けた。そして心臓が繋がってしまったようだね。」
「…私はどうしたら?」
半信半疑ではあったけれど、急に手から血が出たことを思い出して、もう信じるしかなかった。
「んー?キミは何もしなくていいよ。死なないでね。」
「そ、そうです……か。」
死ぬな。と言われても、そうそうそんな危険なことなんてないだろう。
「もしこのことがバレたら、キミ。命狙われるから。」
「はっ!?えっ!?誰に!?」
「敵も味方も。」
あっけらかんと言っているが、何でそんなことになるんだろうか。
というか、なんで味方からも命を狙われるのだろうか。
あんまり彼の話を理解できてはいなかったが、彼は世の中の呪霊を祓うことをしていると言っていたはずだ。
呪霊…呪いのことで、世の中の変死や行方不明の原因であることが多いらしい。呪いは呪いでしか払えないから、その力…呪力を使って彼ら呪術師が裏で戦っているって…。
敵は呪霊のことでしょう?
なら、味方は…?
「僕、あまりに強く権力があるからさ、同じ呪術師からも疎まれてるんだ。いやー、困ったよね。」
「そんな…」
「キミを利用とする輩もいるだろうから、僕からしばらくは離れないでね。あと、このこと誰も言っちゃダメだよ。」
「は、はい。」
歩きながら私は自分の心臓辺りを手で押さえた。
不思議な感じがする。
今のこの鼓動は私のものなのか、彼のものなのか…。
トクントクンと打つ鼓動に私は不思議と安堵を覚えた。