第5章 二人でアオハル
「傑、を連れてここから離れて。それから帳をもう一回。恵たちは僕と特級二体相手にするよ。」
「と、特級相手に!?」
虎杖は拳を構えながら、五条に言った。
五条がいるとは言え、特級を相手にするとは思ってもいなかったようだ。
「しかし、悟。一撃目にを狙ったってことは、こいつらの元々の目的もなんじゃないのか。」
「かもね。それでも離れてて。さすがに生徒たちに、特級相手にを守りながら戦えとは言えないからね。」
は訳もわからずキョロキョロしているが、よく見えてはいないようだった。
「……だめだ、悟。私も特級以上じゃないと出せないようだ。」
身体に取り込んでいる呪霊を好きな時に取り出し操るのが夏油だが、どうもうまくいかないようだった。
「がそばにいると……呪霊が出てこない。」
夏油の言葉に五条は舌打ちをした。
まだのことが理解できていないのに、目の前には特級が二体。
このまま二人を逃したところで、別の呪霊が二人を襲ったら…。
特級以下の呪霊を取り出さない夏油に任せるわけには行かない。
「傑、虎杖たちと頼めるか?」
「あぁ。それじゃを。」
そう言って夏油は抱えていたをぽーいっと放り投げた。
「わっ!!わわっ!と、とんだ!」
あわあわと両手を振り回していると、五条はを小脇に抱えた。
「あまり叫んでると舌噛むぞ。」
「悟さんっ!」
小脇に抱えられたは、五条を見上げた。
真剣な顔で、状況を把握しようとしているようだった。
夏油は生徒たちと合流をし、もう一体の特級を相手にしていく。すでに、夏油の後ろには呪霊躁術によって出された呪霊がいた。
本当にのそばでだけ、出せないようだ。
「あっちは平気そうだな。」
「なになに?どうなってるの?私なんで抱えられてるの?」
「見えない?前にいる呪霊。」
「んー…なんかデカくて黒い?」
目を細めよくみようとするに、五条は頷いた。
「そ。あれが特級の呪霊。を殺そうとあんなのが二体きてる。」