第5章 二人でアオハル
「全く見えないわけじゃないんだけどね。ふわっとうっすら見えるくらいかな。」
廃神社に向かって歩きながら、私も見渡した。
何か見えるかもしれない。
しかし生い茂ってるだけで、何もわからなかった。
「俺も最近見えるようになったんだ。目があったら襲ってくる時あるから大変だよな!」
「…え?襲うの?」
虎杖くんに言われ、私は首を傾げた。
前から思ってた矛盾。
彼らはいつも戦うって言っていたーーー。
私は一度だって、あの小さな生き物から接触されたことはない。
■□■□■□■
達が中に入って1時間ほどが経っていた。
今回は念の為、五条も夏油も帳の中で待機をしていた。
「あまり、音がしないねぇ。大きな呪力が動いてる感じもしない。」
「ーー…悟。」
「ん?」
4人が入っていった森の方を見ながら、夏油は腕を組んだ。
「、やはり何かないか?」
「何か?」
「違和感はあった。」
そう言って、夏油は格納呪霊を肩に乗せた。
荷物運びにはもってこいの、呪霊だ。
呪霊躁術を得意とする夏油はその呪霊をよく操っていた。
「この子が出て来なかったんだ。今回の荷物を持ってあげようと思って出そうとしたんだが。」
「……。」
「嫌がったのは初めてだったね。」
「躁術はほぼ強制だろ?」
「あぁ。」
二人とも森の中を見つめた。
静かな森が広がっている。
「それに、一度に見えると襲われることあって大変じゃなかったかと聞いたことがあるんだが…。」
「…はなんて?」
五条が、夏油の方に視線を向けると、森の中からわいわいと話し声が聞こえてきて、二人は会話を終わらせた。
「先生ぇーー!」
4人が手を振り帰ってきた。怪我をしている様子もない。
「ここ。綺麗なもんすよ。」
「……。」
伏黒に言われ、そんなはずはない。と、五条は思った。
帳を下ろす前はいたはずだ。
それは呪力で感知していた。
「お散歩して帰ってきたね。」
笑いながら野薔薇に言うを、五条は見つめた。