第5章 二人でアオハル
いざ宇治へ。
ワンボックスの大きな車から降りると、私は周りを見渡した。
昼間だと言うのに少し薄暗い山の中腹だ。
「これ終わったら、山降りて抹茶のソフト食べたいねー。」
ポケットから手を出し背伸びをする悟さんに、みんなそれぞれストレッチをしていた。
結構長い移動時間だった。
「あ、そっか。宇治は抹茶が有名なんだっけ?」
私が言うと悟さんは頷いた。
「先生ぇ、これ終わったら平等院も行きたいんすけどぉ。」
「あ、知ってる10円玉だろ?」
「拝観時間間に合うのか?」
野薔薇さんに、虎杖くんに、伏黒くんがそれぞれそう言った。
そんなに緊張してる感じはないようで、安心した。
「僕はこっちの方はあまり来たことないからねぇ。」
悟さんのその言い方に私は首を傾げた。
「宇治以外は行くの?」
「ん?僕京都出身だよ。」
「えっ。」
私は驚いて、今までのことを思い返した。
「あのお屋敷は!?」
東京にも家があったし、五条家の家だと言っていたはずだ。
私がいたあのお屋敷もそんな新しい感じもなく、古いお屋敷だった。
「後から作ったよ?こっちに本家がある。」
五条家って…。
「なんだ先生お坊ちゃんなんだな。」
「まぁね。」
虎杖くんに言われ、悟さんは得意げに笑った。
「さっ、君たち。準備はいいかな?」
悟さんは手をぱんっと叩き、生徒たちに気合いを入れさせると、鬱蒼と茂る森を見据えた。
「ここを抜けると大きな廃神社だ。」
「…廃神社。」
どれだけヤバいところなのか、瞬時に理解した伏黒くんが小さく呟いた。
「さすが恵。中にはうじゃうじゃ呪霊がいるだろう。と共に行動し、彼女を守りながら呪霊を祓っておいで。」