第5章 二人でアオハル
「今回は宇治の方の廃神社を予定してる。」
「おいおい、そんなところ連れて行って大丈夫か?」
おまんじゅうをお口に頬張りながら、悟さんは肩をすくめた。
傑さんは心配そうにしている。
「祓うのが目的じゃない。これは研修だからね。レベル高いところ行かなきゃダメっしょ。」
「まぁ、最悪私と悟がいるから大丈夫ではあるだろうけど。」
「危ないの?廃神社って。」
「キチンと処理されていたのならまだいいが、放置された廃神社は危ないな。神が呪いにでもなっていたら、一級以上だろうし、そもそも神社には人の願い、想い、不安、そういったものが集まっているからね。うじゃうじゃ呪霊はいるだろうね。」
傑さんの説明に、私はひぇっと震え、横の悟さんの肩にぴたっと引っ付いた。
「…一級?」
「呪霊には等級がつけられている。簡単に4級から始まって特級までね。私達呪術師もだよ。」
「私がたまに見るちっこい動物みたいなのは?」
「あれは4級以下だろうね。しかし群れるとやっかいだから、そういったものを彼等が祓うんだ。」
そう言って傑さんさ生徒たちに視線を向けた。
「子供たちも祓ってるの?」
「もちろん。」
あんな無邪気に笑い合ってる子供たちまで…。
私は横でお菓子の交換をし合っている3人に視線を向けた。
「あっはははー!ひっかかってやんのー!それ辛いやつだよ!バカ虎杖!」
「ひぃぃーー!かっれぇぇーー!」
聞こえてくる会話は本当にそこらの高校生と同じだ。
私は悟さんの袖を掴んだ。
「…危ないの?」
「これからの先のための研修だ。」
もっと危ないことがある。
それに備えるために、訓練をする。今回のように。
「大丈夫。子供たちに同行はさせるけど、ちゃんと僕たちが横で君を守るからね。」
そうじゃない。
私はどうでもいい。
「やるからには、本気でやる。」
「…。」
私はぎゅっと拳をつくった。
生徒が頑張るんだもの。
オタクの引きこもり、本気出す。
「目立ってなんぼで行きましょう。守りながら戦うが、今回の目標なら、わざと前にいって命差し出す勢いでいきますっ!」
「はっ。」
悟さんは吹き出し私の頭をぐしゃっと撫でた。