第5章 二人でアオハル
生徒たち3人とも怪訝な面持ちで、私を見ている。
そりゃそうだ。
「呪霊の巣窟京都で、曰く付きのところに行って呪霊を祓う研修を予定していたけど、それじゃあつまんない。
せっかくの研修なので、この子を守りながらも戦い、呪霊を祓い、色々経験していこうって思ってまーす。」
ダブルピースを作り、明るく言う反面生徒たちは何にも楽しくなさそう。
「えー、観光じゃないのかよ!くそ教師!」
ガンっと床を踏みつけたのは女生徒。
髪の毛はボブで、とても可愛らしい顔をしているのに、出てくる言葉は少し怖い。
「口悪いぞー、野薔薇。そもそもこれは宿泊研修でしょうが。」
「…の、ばらさん?」
私がそう呟くと、女生徒が私を睨みつけてきた。
「あ、ごめんなさい。野薔薇さんってとっても素敵なお名前ですね。びっくりしちゃった。」
本当にそう思ったのだ。すると、野薔薇さんは力が抜けたように、椅子に座り直した。
「…ありがとう。釘崎野薔薇よ。」
「はいはーい、俺は虎杖悠仁ね。そしてこっちが…」
「伏黒恵です。」
「野薔薇さんに、虎杖くんに、伏黒くんね。五条先生からはあんまり詳しいこと聞いてはないんだけど、よろしくね。」
挨拶をし終えると、私は悟さんの横の窓際に戻った。
正面には傑さんがいる。
子供達はそれぞれお菓子を食べたり、映画の話をしたりで移動時間を楽しんでいるようだった。
「んね、どうすればいいの?」
私は横に座る悟さんを小突いて、こそっと話しかけた。
「さっき言った通りだよ。曰く付きの場所に一緒に行けばいいだけ。は同行するだけだから。」
「…いわく。」
その曰く付きの場所とかの説明が欲しいのだけれど。
私が目を細め、悟さんを見ていると、傑さんが横から教えてくれた。
「廃屋や、人の思いが溜まりやすい学校や病院、そう言った場所には呪いが発生しやすいんだ。そこに行くんだろう。」
傑さんがいうと、悟さんは大きく頷いた。