第5章 二人でアオハル
「先生ぇ、おっそーい!!」
女生徒に睨みつけられている。
「そうだぞ、五条せんせー!このしおりには集合8:00ってあんじゃん!」
ピンク髪の生徒には、しおりを突きつけられている。悟さんの手書きだ。
「新幹線時間大丈夫なのかよ。」
黒髪の男の子は低い声だ。
今の時刻8:07
確かに遅刻だ。これは先生が悪い。
「まずは挨拶だろー、はい皆さんおはようございます。」
「…。」
全員に無視されている。
「はい。ソレでは駆け足で新幹線向かいまーす。あと4分でーす。」
「はぁ!?」
ーー…あと4分?
私は口を開け、横にいる傑さんを見上げた。
「悟め。さ、行こう。荷物持つよ。」
走るらしい。
私は傑さんに荷物を預けると、前を走り出した悟さんたちを追いかけた。
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「ぜぇ…はぁ…し、死ぬ。」
階段を駆け上がり、指定席の車両まで走り続け、肺を押さえた。
そのわりに心臓は静かだ。
走ったというのに、悟さんは息切れすらしていないということだろう。
乗り込んだ新幹線のトイレの近くで息を整えていると、傑さんが来てくれた。
「大丈夫かい?」
「なんでギリギリに言うんですか、あの人。」
「悟だからね。さ、席行こう。」
傑さんに持ってもらっていた荷物を受け取り、私は切符の席番号を見ながら座席に向かった。
「先向かい合わせにしよーぜ!」
と、ピンク髪の男の子が席を動かしている。
「、こっちおいで。」
生徒たちの近くの席で悟さんが手招きしているので、わたしはそちらに向かった。
「でも、座席番号ちがうよ?」
「ん?この車輌貸切だから。どこ座ってもいいよ。」
か し き り
スケールが違う。
たった6人のために車輌貸し切るとは思いもしなかった。
「人が多いと呪力が混ざって気が散るからね。行き帰りくらい、休憩させてあげたいじゃない。」
「そんなのもあるんだ…。」
「向こうではずっと研修させるからね。」
と、悟さんはポツリと呟いた。