第3章 二人は一つ
何か五条さんをドキッと驚かせることはできないだろうか。
あの鉄壁の心臓をもつ五条さんを?
お風呂場で私の裸をみて、何の動揺もときめきもしなかった五条さんの心臓を?
あれやこれやと頭で考えていると、五条さんは私の耳に今度は唇を寄せてきた。
「…ひゃっ」
急にくるもんだから声が抑えられなくて、私は左横に座る五条さんの腕に手を添えた。
「傑とはここまでした?」
私は再び首を振った。
私に触れはしてきたけど、ここまで官能的ではなかった。
確かにすごく彼にもドキドキしたけれど…
ふと目を開けると、間近に五条さんの顔があって私は息をのんだ。
「名前を呼び合ってるのに?」
親指で私の下唇に触れてきた五条さんは、すごく真顔で、いつものいたずらっ子の様な表情じゃなかった。
「それは…」
「傑さーん、なんて呼んじゃって。ちゃんったらエッチぃ子。」
傑さんから呼んでって言われたのにっ!
「悟さん。……って呼んでほしいの?」
じっと見つめていうと、私の中の五条さんの心臓に少し変化があった様な気がした。
「あ。今…」
「いや、ドキッするわけないじゃない。」
少し声が低くなって、五条さんは私の手をぐいっと引き寄せた。
力の強い五条さんに引っ張られたら贖う術は無い。
五条さん膝の上に向き合うように座らされた。
顔がとても近い。
「相変わらずの正常運転だね。の心臓は。いつも通りドキドキしてる。なんだか、僕がしてるみたいに錯覚しそうだよ。」
「こんな体制ならドキドキしちゃうよ…」
正面から彼の顔を見れない。
ドキドキしてるはずなのに、いまだに五条さんの心臓は静かなままだった。
五条さんの指先が私の頬に触れ、ゆっくり撫でていき、耳へと到達した。
「…っ。」
「僕がキスマークをにつけても、僕につくのかな。」
髪の毛を横に避け、五条さんは私の首筋にまた唇を寄せた。
「…んんっ」
「いい声。」
ちゅっ、ちゅっ、首から段々と下に下がって、傑さんが付けたシルシのあたりにも音を立ててキスをした。
「…ゃ…」
「横につけちゃお。」