第3章 二人は一つ
「僕のTシャツから丸見えなんだけど?」
「…。」
オーバーサイズで着ているシャツからは五条さんの鎖骨はしっかり見えていて。
傑さんが私につけた赤い跡と同じ場所だ。
「なーんか僕。傑に犯されちゃったみたい。」
「ぷっ」
傑さんが五条さんの首に口付けてるピンク色のシーンを想像してしまって私はつい笑ってしまった。
「笑い事じゃないでしょ。」
「傑さんが五条さん揶揄うためですよ!本当にそれだけで…。」
『だからだよ。』
と言っていた傑さんの言葉を思い出し、私は下を向いた。
「ほーら、また心臓うるさーい。」
「私はやめようって言ったから!あんなおっきな身体の人に迫られたらそりゃ……」
もごもごと誤魔化していると、五条さんは同じソファに座ってきた。
「迫られたら?何?」
「傑さんだって,別に本気じゃないと思うし,『揶揄う遊びをしよう』って言ってたから五条さんを本当に揶揄いたいだけだと思い…ます。…はい。」
「遊び…ねぇ。ふーん。」
顎に手を置いた五条さんが、何かを思いついたようににっこり笑った。
嫌な予感しかしない。
「僕とも遊ぼうか。」
「ぇ。」
「先に鼓動早めた方の勝ち。どう?」
「私が負けます。絶対負けます。だって、五条さんいつも心臓静かじゃない!」
「やる。今決めた。僕が決めた。けってーい。」
「やだ!ほらもう私心臓早いでしょ!?」
そう言って私は五条さんの胸に手を伸ばした。
絶対鼓動は早いはず!
でもその手は取られて、手首を掴まれてしまった。
「じゃあ、はじめるよー。よーい、スタート!」
「し、しないってば!」