第21章 もう一度貴方と(番外編3の3)
は阿曽の自分の家に着いて、ハクからゆっくりして降りた。
あの特級と遭遇して以来の自宅には安堵したように、ふぅと息を吐いた。
「ハクもここまでありがとう。さっ、空気の入れ替えしなきゃ。」
玄関の引き戸を開けた瞬間、は違和感を覚えた。
「……?」
空気が違う。
呪霊たちがいない。
「お帰りなさい!さん!」
急にの後ろから大きな声がして、は肩を揺らした。
ドキドキと心臓が鳴る。
の知ってる声だった。
いつも元気で真っ直ぐな彼のーーー…
「つ、綱手川さん。」
「色々大変だったみたいですね…。俺心配したんすよ。」
後ろに立っていた綱手川さんは、一歩一歩に近づいた。
彼は、に思いを寄せ、何度かデートに誘ったりなど、気持ちを伝えていた男。
に特級の呪霊を差し向けたのは、彼がに告白したところを見た、綱手川の元恋人だと、五条からは聞かされていた。
はぐっと口を閉じ、彼から目を離さなかった。
後ろは玄関。
何かあった時、逃げるのは家の中ーー…
「こんばんは、綱手川さん。えっと…何かご用ですか?」
はなるべく自然な笑顔で彼に問いかけた。
綱手川もずっと笑顔を張り付けていた。
「俺…何もしてないんですよ。」
「……?」
視線を落とし、すこし落ち込んだ様子で話す綱手川に、は首を傾げた。
「ただ、普通に付き合って、性格が合わないって思って、一年で別れて…ただそれだけ。そんなの普通じゃないですか。」
「…綱手川さん?」
確かに、に呪霊を差し向けたのは綱手川の元恋人の桜子という総監部の孫娘だ。
彼は何もしていない。