第21章 もう一度貴方と(番外編3の3)
「そうですね。だから、私はあなたを責めたりしていませんよ。呪霊は祓われ、私は無事です。何もないです。」
とりあえず、段々と表情が曇っていく綱手川をは落ち着かせたかった。
優しく声かけ、安心させようとした。
「あの桜子がやったことなのに、俺のせいにされたんだ…っ!」
「…え?」
肩を震わせ、綱手川は怒りと絶望に満ちていた。
「俺は補助監督を辞めさせられて、桜子の婿養子に入る。ありえるか?なんで俺がっ!」
「そ、そんな。綱手川さんのせいじゃないのに…断れないんですか?」
は、なるべく怒りを抑えようと綱手川に寄り添い、握り締めていた拳に手のひらを乗せた。
の家にわざわざ来るくらいだ、ただ文句を言いにきただけじゃないはずだとは内心警戒していた。
「総監部の決定だ!断れるはずがない!」
パシッとの手を払いのけた。
「あんな女となんで、俺が結婚しなきゃならないんだ…」
いつも笑顔でに声をかけ、元気いっぱいで真っ直ぐだった綱手川が、今や顔を歪めの肩を掴んでいた。
「い、痛っ!はなしてっ」
「結婚したくないんだ…俺はさんが好きなんだ…っ!」
ガタガタを震わせ、の肩を揺さぶる綱手川には怯えていた。
呪術師ではないと言っても、訓練されたよりも大きな男性。
浄化しか取り柄のないに、なす術などなかった。
「だから、先に結婚できないようにすればいいんだ。」
「…つ、綱手川さんっ!」
「子供がいれば、こんな話もなくなる。総監部のじじい共も無理にすぐ俺と桜子を結婚させようとはしないはずだ。」
はカタカタと震えた。
「…こ、子供?」