第21章 もう一度貴方と(番外編3の3)
私はぐっと、涙を拭うと笑顔で傑さんを見上げた。
「…。」
「ん!もう大丈夫!」
傑さんは心配そうに眉を寄せ、私を見ていたが私は笑顔を絶やさなかった。
「昔はさ、本当に好きだったのかもしれないけれど、今となってはもうわかんないよね!ただ、そばにいて彼に人間の温かさとかそう言ったことを教えたかっただけなのかもしれない。」
「…うん。」
「それは私じゃなくてもいいし!ただ、また変に邪悪になってきたら浄化してやろうかな!あは。」
笑っていうと、傑さんは私の頭をくしゃっと撫でてくれた。
「らしいね。」
「ありがとう。それじゃ、私荷物まとめて、阿曽に一度帰るね。聞いてくれて本当にありがとう。傑さんでよかった。」
「悟には会っていくか?多分夕方には高専帰ってくるが。」
五条さんの名前が出てきて、私はあからさまに反応をしてしまった。
「会って…色々お礼を言いたいのは山々なんだけど。」
「ふふ。」
私の真っ赤になった顔を見て、傑さんはくすくすと揶揄うように笑った。
「寝る前とか、よく思い出すの…。」
「失った記憶を?」
「うん…。京都で三人で桃鉄したこととか…」
「へぇ、よかった。」
「前は、写真みたい思い出してたんだけど…最近はその時の声とかそう言ったことも…思い出してるの。」
「桃鉄、懐かしいな。」
「あの!五条さんには言わないで!は、恥ずかしいから…」
「でも、待ってるよ?ずっとのこと。」
私はまた一気に顔が熱くなった。
「だ、だって……最近、五条さん…っ!」
「あー、ごめん。強引に押せって言ったのは私だ。積極的に口説いてきてる?」
「もう!帰るっ!」
「あっはは。」
私は傑さんのお腹をぐっと押しやり、寮の自分の部屋に逃げ込んだ。