第21章 もう一度貴方と(番外編3の3)
トク トク トク
暖かくて心地いい、優しい音。
この音、知ってる。
「…ん、」
「?」
前髪を撫でてくれる指。
知ってる。
この指は
「ーー…さと…るさ…」
「。」
もう一度名前を呼ばれ、私は彼の指を握った。
「…もう少し……寝て…い?」
「もちろん。」
そう言われて、私はまた目を閉じた。
夢の中ならずっと一緒だからーー…悟さん。
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「………っ」
私は夜中、目を覚ました。
職員用の寮の部屋だ。
どうやら、また五条さんの近くで眠ってしまったらしい。
私は起き上がって、すっきりとした頭で思い出そうとした。
「また…寝ちゃった。」
もしかして彼の術式か何かで眠らされてるんじゃないかと疑ってしまうくらい、私はいつも五条さんの近くで寝てしまってる。
私は借りている寮のベッドから降りて、カップいっぱいの水を飲み干した。
そして、自分の唇に触れた。
「キス…またした……」
触れるだけのキス。だけど、とてもドキドキした。
恋人だったのだから、当たり前なのかもしれないけれど、私に合わせてくれようとする五条さんは本当にいい人だ。
こうやって、布団にまた運んでくれた。
「明日、お礼言わないと。」
ずいぶんたくさん寝てしまった私は、カーテンを開け月を見上げた。
今日はもう寝なくても大丈夫そうだった。