第21章 もう一度貴方と(番外編3の3)
戻ってきた五条さんは、大きな紙のバケツにポップコーンとジュースを二つ持ってきてくれた。
「すごい。本格的ですね。」
「映画館で買ってきたからね。」
「…いつもの飛んでってやつですか?すごいや。」
買ってくれたコーラをテーブルに乗せ、私はポップコーンを受け取った。
「五条さんはキャラメル派なんですね。」
「平気?」
「はい。平気です。」
「一緒に食べよう。」
1番は塩バターが好きだけど、キャラメルも好き。
そんなことを思いながら、私はいい匂いのするポップコーンを見つめた。
ーー…甘いもの好きなんだ。
と、考えた瞬間、私の頭に口元に生クリームをつけクレープを頬張る五条さんの映像が浮かび上がった。
「……っ。」
これも忘れてしまっていた記憶だろうか。
「?」
「あ、ごめんなさい。なんでもないです。」
嬉しそうに笑ってクレープを食べる五条さんを思い出してましたって言うのが恥ずかしくて、私は笑って誤魔化した。
五条さんはどさっと私の左横にピッタリと座ると、腕をソファの背もたれに置いた。
肩に回されたわけではないけれど、五条さんの腕が私の頭の後ろにあって、近くで緊張する。
私の膝にあるキャラメルポップコーンを頬張りながら、映画の鑑賞を始めた。
ーー…どうしよう。つまんない。
確かにつまらなそうなのつけるとは言ってはいたけれど、まさかここまで変なお話だとは思わなかった。
話はあっちこっち飛ぶし、恋愛でもなければ、アクションでもない。不思議な感じ。
「つまんねー。逆に笑える。」
無感情で言う五条さんに私はふっと笑ってしまった。