第21章 もう一度貴方と(番外編3の3)
「映画デート。」
「…映画?」
五条さんが優しく腕を引いて歩いていくのを私はついていった。
確かに座って見るだけならできるかもしれない。
「ここの地下にさ、狭いけど映画観れる部屋があるんだ。」
「そこで?」
「そ。二人きりで♡」
無邪気に笑っていう五条さんに、なんだか私まで笑ってしまった。
てっきり映画館にいくもんかと思ったけど、私のことを考えてここで映画を見るようだ。
「地下とかあったんですね。」
「まぁ、天元様のなんやかんやで場所変わるけどねー。」
ーー…なんやかんや。
特に詳しく説明をしないのは五条さんの性格のようだ。
手を引かれ小さな階段を降りていくと、本当にテレビとソファだけが置かれた暗い部屋があった。
「以前、稽古にちょっと使ってた部屋なんだけどね。サボる部屋にはもってこいなんだ。」
「五条さんもサボることあるんですね。」
「そりゃね。…今もだし。」
とんでもないことが聞こえてきたが、私は聞こえなかったふりをした。
私をソファに座らせると五条さんはテレビの下にあるDVDを漁り始めた。
「何がいいかなー。」
大きな五条さんが床に座ってるのを私は微笑み眺めた。
…ちょっと可愛いと思ってしまった。
「普段どんなの見るんですか?」
「僕はまぁ、なんでも。はアニメでしょ?」
「……。」
バレてる。
多分知ってたんだろう。その通りだ。
「ホラーは?」
「ホラーも好きですよ?」
「ちっ。怖がるのを抱きしめてやろうかと思ったのに。」
「…はは。」
「よし、このつまらなそうなのにしよう。」
「えっ。つまらないの?」
「うん。二人でつっこみながらぼーっと観ようよ。」
せっかくなら面白いのがいいんじゃないのか。と思ったけれど、五条さんはデッキにディスクを入れていった。
そして、一度止めると、飲み物持ってくると部屋から出ていった。