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【呪術廻戦/五条】嘘がつけない

第21章 もう一度貴方と(番外編3の3)


【side】


本当に私は彼の恋人だったのかと、何度だって疑うだろう。

それくらいに五条悟という男は雲の上の存在なのだ。


急にトップアイドルと恋人になれるだろうか。
急に皇族の方と恋人だと言われて信じれるだろうか。

私にとってそれくらい衝撃的で、受け入れられないことなのだ。




でもそれを理解したのは、千年前の記憶が戻って後のこと。
彼の術式がどんな凄いものなのか、六眼との合わせ持ちで生まれたことの奇跡がわかっているからだ。

きっと彼に恋をしていたころの私は、何も知らず、理解もせず、彼の人となりだけで好きになってしまったんだろう。


私はまだ、それを思い出せていないーー…






■□■□■□■






「あの…五条さん?」
「んー?」


ベッドに座ったままの私は、五条さんのキスを拒否している体制のまま固まっていた。

手を五条さんの口元にもっていき、押し出している。

ーー…そう言えば、彼に触れられている。

確か五条さんの術式は絶対不可侵だったはず。
彼に近づくことも、触れることもできない最強の術式。


ーー…もしかして、信用されてる?

彼に触れることを許されているってことなのだろうか。


「あの…離れてください。」
「やっと言えたから、もう少しだけ。」

にぱっと笑う五条さんの顔が見れなくて、私は目を逸らした。
青い目が眩しくて私は見ることができなかった。



「……。」


私は五条さんの立場になって考えてみた。


“やっと”の意味を。


もし、恋人が自分だけ忘れていたら?
もし、目の前で死にかけていたら?


それが自分というのが照れくさいけれど、私の手のひらにキスをしようとしてる五条さんを、一方的に嫌だ嫌だと払いのけることが出来なかった。



私は押し返す手の力を弱め、手を下げた。


「?あ、ごめん。痛かった?まだちゃんと治ってないもんな。」


ーー…優しい。


私は五条さんの腕に手を伸ばした。


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