第21章 もう一度貴方と(番外編3の3)
は布団からもぞもぞと出てきて、髪の毛をささっと直して、ベッドに座る五条をちらっと見た。
「五条さ…ん。」
「ん?」
「記憶を…無くしてしまってごめんなさい。」
「それは、は悪くないでしょ。」
「五条さんの恋人だった…なんてまだちょっと信じがたいです…。まるで他国の王子と結婚する。ってくらい私には異次元すぎる話なんです。」
「おおげさな。」
くくっと笑う五条さんには首を振った。
「呪術界ではそのくらいのことだと思うんですっ。でも、確かに、呪術のこととか何も知らないころに出会ったのなら、もしかしてそうなる可能性もあったのかなって。」
「そうだね。と知り合ったのはが何も知らない時だったから。」
「いつか思い出せたらいいなって思ってます…。」
うつむいて言うにとって、最大限の勇気。
遠回しの“恋人に戻れたらいいな”という、意味を含めては言った。
五条はそれで充分だとでもいうように、微笑みの頭を撫でた。
「思い出さなくても、また惚れてよ。」
「…っ。」
「僕を好きにさせるから。宿儺よりも、誰よりも僕を好きになればいい。」
「ごっ、五条さんっ!」
「でもね、。」
頭を撫でていた手が降りてきて、の頬に触れた。
「それ以上に僕の方が何度も君に恋してるんだよ。」
青い目が真っ直ぐの目をとらえて離さなかった。
「罪な女だよ、。死にかけたをみて、再認識した。」
「…っ。」
「なしじゃだめだ。が好き。宿儺なんかにやらない。」
淡々と告げる五条には、何も言えなかった。
口をぱくぱくさせるに五条はくくっと笑った。
何か言いたげなの言葉をただ静かに待った。
「……助けてくれて…ありがとうございました。…あの…歩けなくなっても、足になってくれるって…嬉しかった…です。」
顔を真っ赤にして言うに、五条はそっと顔を近づけキスをしてやろうとしたが、はまた口に手をやり押し出した。