第21章 もう一度貴方と(番外編3の3)
は確かに五条のことを“悟さん”と呼んでいた。
だからこそ、五条は自分のことを思い出してくれたんだと期待したのだが、は必死に顔を赤くしたまま首を振り続けた。
「あの…断片的にだけしか……」
「何を思い出したの?」
は途端両手を顔にやり、真っ赤になった顔を必死に隠した。
「え。かわい。」
「やめてくださいっ。」
「ねぇ。」
の顔を覗き込もうと五条はしたが、は布団に潜り込んでしまった。
「……私が五条さんの…恋人って本当ですか…。」
布団の中からボソボソとがいうと、五条はその布団の上から手でぽんっと叩いた。
「思い出した?」
「信じられません。そんなことありえませんっ。」
「えー。」
布団から出ることもなく、否定するに夏油は笑った。
「しょうがないよ、悟。」
「何がだよ。」
「今のは、呪術界についてよく理解してしまってる。初めて会った時と違ってね。」
「…?」
ベッドに腰掛け、布団の中のをポンポンしながら、五条は首を傾げた。
「“五条悟”がどんな人物か知ってしまってるからね。人類最強、術師最強、御三家、当主、六眼持ち。前は、五条家で保護してずっと一緒にいたから、君をよく知っていたんだろうけど、今のはそういう肩書きしか知らないだろ。」
夏油の言葉に布団の中のが震えた。
「私今は多少は呪力も扱えるようにはなりましたけど、所詮は非術師です…。」
「うん。」
「恐れ多いです…。信じられないです。それに……」
は布団からちらっと顔を出し、近くの五条の顔を覗き見た。
「ん?」
「…っ!」
五条の目とあい、は再び布団に潜り込んだ。
「無理ですっ!」
「はぁ!?」
「本当に少しだけしか思い出してないんです!でも…こ、恋人……無理です!か……」
「か?」
「顔が良すぎます!」