第21章 もう一度貴方と(番外編3の3)
腕が変色し、折れ、ボロボロのを抱き、五条はゆっくりと地上に降り立った。
五条の領域展開で、すでに特級特定疾病呪霊は祓われていたあとだ。
「。」
横たわるは反応もないし、それどころか呼吸すらしていなかった。
水を大量に飲んだのだろう。
しかもあの汚れた水をだ。
「。」
五条はの顎をあげ、気道を確保するとゆっくりと口付け酸素を送った。
「死ぬのは、絶対許さない。」
心臓が止まっているわけでない。
水を飲みすぎたせいだ。それを吐き出させるため、五条は空気を送り続けた。
「僕のこと、思い出すまで、死なせないから。」
「。」
五条は人工呼吸の合間もの名前を呼び続けた。
「ーー…僕を…」
何度目かの口付けをしようとした時、は顔をしかめ、咳き込んだ。
口から水を吐き出し、うっすらと目を開けたに、五条は安堵した。
「っ!」
「…る…さ…」
「え?」
また“うるさい”と言われたのかと思った五条は、の頬を撫で、耳を寄せた。
「さ…と…るさん…」
「っ」
朦朧とした目を五条に向け、五条の手のひらに擦り寄る。
「今、硝子のところに連れて行くから。」
「……ごほっ…」
まだ残っていた水を吐き出し、は横抱きにされた五条の服を力無く握りしめた。