第21章 もう一度貴方と(番外編3の3)
高専の医務室で、五条はベッドに眠るを見下ろした。
横には家入硝子がを見て小さくうなった。
「酷いな…。」
「治るよな。」
「……骨折が数箇所。これはすぐ治るが…。腎機能がかなり低下してる。」
手をかざした硝子が低い声で言った。
「治るよな。」
五条はもう一度同じ質問をした。
青い顔で眠るから視線を硝子にうつし、縋るような声だった。
「ちゃんと診る。五条は出ていって。」
硝子は五条にぴしゃりと言い放ち、手袋を着けはじめた。
「ーー…。」
五条は指先をの頬に滑らせ、最後にもう一度の名前を読んだ。
「こんなことになるなら…もっと早くに好きって言っておけばよかった。」
「気持ち悪い事言ってないで、早く出ていけ。」
硝子に言われ、五条は名残惜しそうに医務室から出ていった。
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医務室前の長椅子に座る五条の前に夏油がやってきた。
五条がのところに行っている間、夏油は桜子のところに行っていた。
に呪霊をけしかけるよう依頼した女だ。
「悟。女は総監部に連れて行かれた。…というより隠された。」
「あー、孫がなんかだったか。」
「簡単に言うと、への嫉妬。」
「……。」
五条は眉を寄せた。
そんなことのためにを殺そうとしたのかと。
「最近に思いを寄せている綱手川っていう補助監督の元恋人だそうだ。へ告白してるのを見て、をどこかへ嫁がせようとしたようだ。」
「はぁぁぁ。」
ぎゅっ握りしめたて手から血が出てきそうなくらい力を込めていた五条は、今にも爆発して全てを破壊するのではないかと思うほどだった。
「総監部はに依頼をした男を特級特定疾病呪霊を所持、へとけしかけた“主犯”として、死刑を執行。孫娘の桜子は隠されたよ。」
「腐ってんな。」
五条は吐き捨てように言った。