第21章 もう一度貴方と(番外編3の3)
数日後、私は作り笑いを作り続けていた。
『いやほんとに!タイミングが悪かっただけですから!』
「はい。」
綱手川さんは電話の向こうで大声で力説していた。
この前私に告白してきた綱手川さんは、私が浄化の力があるから告白したのではないことをずっと言い続け、
一般家庭出身らしい彼は、呪術の家系が最近私に見合いを申し込み始めたタイミングと重なってしまったことを悔やんでいた。
『俺は純粋にさんがすきなんです!』
「…はい。」
本当に真っ直ぐな人だ。
『やっぱり今回の騒動で、高専には来たくないですよね?』
「うーん。だって、総監部ってところは私を認めると正式に言ってるわけではないし。」
五条さんもそう言っていた。
御三家の方が言うのだからきっとそうだ。
『じゃあ…今度の休み、俺がそっちに行ってもいいですか!?』
「それは…ダメ。かな。」
『俺はやっぱり…無理ですか?』
「うん。ごめんね。期待させたくないから。出来れば、電話も…」
『……。』
変に期待させて振り回したくない。
『わかりました、なるべく我慢します。』
「うん、…ん?」
…なるべく?
『嫌われない程度にたまに声を聞かせてください!どうしよもうなくさんが好きなんです!』
ここまで熱烈なのは人生でも初めてかもしれない。
あまりの勢いに私は黙り込んでしまうくらいに。
『だって、呪術界の噂のせいで家にずっといるんですよね?さん、一人じゃないですか…。寂しくないですか?俺で…って厚かましいですけど、少しでもさんが寂しくないように出来たらって!』
「ーー…ありがとう。私の家は,特殊で賑やかなの。大丈夫。寂しくないですから。」
話はしないけれど、そばにいてコロコロ転がってる呪霊たちに私は視線を向けた。
ーー…寂しくない。
私は自分に言い聞かせらように言った。
『さん…』
「ごめんなさい。私今から依頼のお仕事入ってるから。」
『個人で受けてるんですか?』
「そうなの。土地が荒れてるから浄化して欲しいって。そう言ったところから呪いが生まれることもあるの。」
『さん一人…気をつけてくださいね。』
私はお礼を言って電話を切った。