第21章 もう一度貴方と(番外編3の3)
暖かい夢を見た気がする。
「…ーん。」
すっと、気持ちよく目覚め、私はむくりと起き上がった。
ぼーっとする感じも、まだ寝たいって感じもしない。
寝室のカーテンから少しだけ明かりが漏れていて、外はすでに日が昇っているのがわかった。
「…すっきり。」
そうすっきりしている。
いったいどのくらい寝たんだろうか。
「…あれ?そういえば。」
五条さんといた気がしたけれど、いつのまにかお布団で寝ていたんだろうか。
寝る前のことを思い出して私はベッドから飛び降りた。
縁側で膝枕してもらったんだ!
かっと一気に顔が赤くなった。
男性の膝を枕にして寝てしまい、たぶんここまで運んでもらってる。
昨日の服のままに気付き、私はそれにも恥ずかしく感じながらリビングまで戻ってくると、誰もいないリビングで呪霊達がわらわらと私に集まってきた。
「ん?」
一つの小さな紙切れを私に差し出してきた。
『勝手に帰るね。困ったらいつでも頼って。添い寝してあげる♡ 』
というメモ書きの端には自分で描いたであろう似顔絵。ちゃんと目隠ししてあって可愛かった。
添い寝してあげる、と書いてあるのにその書き方に私は笑ってしまった。
術師だというのに、私の家の呪霊を信用して手紙を託したことも、将来困るかもしれないのに私を心配して、恋人のふりをしてくれると言うことも。
「ーーー…不思議な人。」
でも、信頼できる人。
私は手紙をいろんな人の釣り書きとかが入った引き出しとは違う、1番上の引き出しに大切にしまった。
ちょっと特別な手紙。
“なんで忘れちゃうかな…”
本当になんでなんだろう。
「ーー…五条悟。五条さん。……悟さん?」