第21章 もう一度貴方と(番外編3の3)
傑の言葉に僕はデカいため息をついた。
「このタイミングでに言い寄っても、数あるうちのひとつだと思われるじゃん。」
『そこはチャンスに変えてみるんだよ。悟。が困ってるなら手を差し出せばいい。』
「えー?また五条家の力を見せつけてみる?」
『まぁ、は断るだろうけどね。婚約者のふりでもなんでもとりあえずは声をかけてみるべきだと思うけどね。は優しいし、相手のことばかり考えるから、きっと婚約者のふりを申し出ても、悟の将来を案じていい顔はしないだろう。』
「でもまぁ…心配はして助けたいってことは伝えたほうがいいよな。」
『そうだね。今すぐにでも。』
「うーー。」
今すぐにでも会いたい。
五条家で保護をしたい。
『なんだ、やっぱりのことになると弱気だな。』
「…この前の夜、見たんだよ。」
『何を?』
待っていたスマホをぎゅっと握り締めた。
見てしまった情景を思い出して、また胸が締め付けられる思いだった。
「が宿儺といるところ。」
『……。どんな感じだったか聞いても大丈夫なやつ?』
「大丈夫じゃない。聞かないで。言いたくない。あーーー!!」
キスをして、宿儺の肩に擦り寄り、二人で並んで座っていた。
口にも出したくない。
『わ、悪かった。聞かないよ。』
「僕にも…チャンス残ってるかな…」
『弱ってるなー。おいおい。まだ行けるって。言ったろ?まだの記憶には悟は残ってるって。』
「うーん。」
『とりあえず、今日夜遅くなる前にのところにいけ。まずは会って話す。いまの状況を助けたいことを伝える。いいね。』
「あーい。」
『元々お前ら身体から入ったんだろ?は押しに弱い。押せ。行け。』
親友からの激励を受け、僕は通話を切った。