第21章 もう一度貴方と(番外編3の3)
「顔色が悪いね。」
「そうですか…?」
五条さんは私の頬に手を伸ばし、親指を私の目の下に当てた。
「うん。顔色悪い。今回のことで体調崩した?」
「いえ。」
確かにめんどくさかったけれど、そんな体調を崩すほどではなかった。
お見合いも交際も相手のことを知らないから、そんなに気に病むことなく断ることが出来たし、手紙もそんなに真剣に読んでなかった。
だから、今回のことはそこまでストレスではなかった。
それよりもーー…
「…あまり寝れなくて。」
夜になると頭の中でもやもやと知らない情景が流れてくる。
布団が冷たく広くて……なんだか、とても寂しかった。
「眠れない?何かあった?」
「…いえ。」
寂しくて眠れないなんて、言えることはできなくて私はただ首を振った。
「五条さんのことなのか、誰のことなのか私にはわからないんですけど、夜になると何か思い出そうとして頭が痛くて…。」
「…。」
頬を撫でていた五条さんが、私の頭を優しく撫でてくれた。
私はそれがとても心地よくてつい目を閉じてしまった。
五条さんの大きな暖かい手ーー…
もっと…撫でて欲しいーー…
ふと、目を開けると段々と五条さんの顔が近づいてきてて、私は固まってしまった。
「ご、五条さっ…!」
「あ、ごめん。急に目を閉じるから。」
目隠ししてもわかる五条さんの綺麗な顔。
五条さんはふっと口角を上げて私の後頭部に手を回した。
「わっ!」
「はい、ねーんね。」
「五条さんっ!」
縁側で足を下ろして座る五条さんの膝に私は頭を下ろされた。
すぐに起きあがろうとしたけれど、五条さんの手がそれを許してくれなかった。
肩を抑えられ頭を無理やり膝枕させられている。