第21章 もう一度貴方と(番外編3の3)
「僕からもね、上層部に君に手を出すなと言ったんだ。」
驚いた。
五条さんがそんなことをしていてくれていたとは思いもしなかったから。
私の表情を見て、五条さんは笑った。
「僕は君の味方だよ。傑もね。」
「あ、ありがとうございます。」
知らない人からのお見合いの話だとかに、ずっと一人で対応して、これからもずっとそうなのかと思うと、憂鬱としていたが、五条さんたちがいてくれるとわかった瞬間、私はすごく安心した。
「しかし、上層部はそんなことは知らないと言ったんだ。」
「え?」
「おかしな話だよね。」
本当におかしな話だ。
上層部が私の浄化の力を呪術界に広げることを認めるというから、こんな風になったと言うのに。
「じゃあ…なんで?」
「うーん。上層部のよく知る人物が流した噂…。」
確かに、はっきりと私を認めるといったわけではない。
「そんなにすぐ広がるんですか?」
「そんな広い世界じゃないからね。」
そんな適当な噂に流されて、私に求婚やお見合いの申込みをしてきたと言うのだろうか。
私は膝に来た小さな呪霊を手のひらに乗せ、指先で撫でた。
「できることなら…浄化の力を認めてもらいたいなとは、思ってたんですけどね。」
そうしたら呪霊たちの祓い方や、心のあり方が見直されるかと少しだけ期待したのに。
「そうなると、ますます君は呪術界とずぶずぶに付き合わされる。今以上にお見合いとかの話がくるだろうね。」
「……。」
「誰かいい人はいたかい?」
「ええっ!?」
そんなことを聞かれるとは思わなくて、大声を出してしまった。
手にいた小さな呪霊は驚いてぴょんっと飛び跳ね、五条さんの膝に隠れてしまった。
「くくっ、みたいな若い優良物件は後継のために取り入れたいからね。」
「…上は70歳、下は9歳の子まで。」
今回きたお見合いの相手の年齢だ。
「ははっ、選び放題だな。」
「もう、呪術界どうなってるんですか?」
私は少し冷めたお茶をくいっと飲み干した。