第21章 もう一度貴方と(番外編3の3)
それから数日、阿曽の家には知らない人からの手紙が何度か届いた。
揃いも揃って釣り書きが同封されたお見合いの誘いや、養子の話だった。
「総監部って何なのよ。」
そんなに偉い部署なのだろうか。
私は手紙を引き出しにしまいつつため息をついた。
総監部が認める“かもしれない”。
と、言っていた。噂だとも言っていた。
認めない可能性もあるってことだろう。
「しばらく高専行くのやめとこ…。」
個人的に依頼が来たものだけを受けるようにしようと、私は引き出しを閉めた。
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「私はどこかに嫁ぐ気も、所属する気も今はありません。ごめんなさい。」
数日経って家まで来たどこかの家の偉い人に私は玄関先で頭を下げた。
たまに手紙だけでなくこうやって家に来る人もいた。
「釣り書きを渡しておきます。いい条件だと思いますので。」
一枚の封筒を受け取り、男性は帰っていった。
いい条件って60歳じゃないか。
呪術界の後継はそんなに困っているのか、それとも私以外にも奥さんがいるのだろうか。
いい条件は年齢とかではなく、術式だったり、由来だったり、血筋だったり…そういったことを指すのだろう。
私は釣り書きを見ることもなくここ数日何度も何度も大きなため息をついていた。そんな時ポケットの携帯がなり始めた。
“悟さん”
そう登録されている番号からかかってきて、私はドキッとした。
五条さんだ。
悟さんだなんて呼ぶことがないのに、そう登録してあるのが何だか不思議な感じがした。
「もっしもし。」
噛みそうになるのを必死に耐え私は電話に出た。
『あ、ー?今平気?』
「はい。大丈夫ですよ。」
『ちょっとそっち行っていい?』
「そっち?」
『うん、の家。玄関先でいいから。』
「え?今どこいるんですか?」
『今任務終わりだから…えっと、どこだっけ。近畿。』
「それは…構いませんけど…」
近畿から向かってきてどのくらいかかるのだろうか。
それに、ハクの背中で後ろから抱きしめられて以来だから少し緊張する…
『着いたよー。』
「えっ!?」