• テキストサイズ

【呪術廻戦/五条】嘘がつけない

第20章 もう一度貴方と (番外編3の2)


私はその日の夜もベッドに座って窓から月を見上げていた。



ーー…眠れない。



もう明日には岡山の阿曽に帰ろう。

一週間は高専でお仕事をしようかと思っていたけれど、眠れず体調を崩すくらいなら、もう帰ろう。



「…寂しいな。」



無意識にぽつりと呟いた。
本当に無意識だった。

満月を見て、そんな気持ちになったのか、私は自分の足を抱えるようにベッドの上に座っていた。


ーー…寂しい?


夜はいつも一人だったし、阿曽の家でも呪霊たちを除けば一人だ。

一人で寝起きをして、隣に誰かいた覚えはない。


狭いシングルベッドの横を見た。



“身体おっきいんだから、シングルは無理だよ!”
“一緒に寝たいから仕方ないよ。ほら。もっとおいで。”











ーー…誰?







私は白いシーツを撫で、立ち上がるとカーディガンを羽織って部屋を出た。















「何してる。」
「呪力を感じたから来ちゃった。」


校舎の屋上で一人座っていた宿儺に、私は背後から近づいた。


「呪力は消してたはずだ。」
「消してても微かにわかるよ。宿儺のだもん。私がわからないわけないよ。」

私は宿儺の横に同じように腰掛けて、月を見上げた。


「……。」

むっとしている宿儺を無視して私は微笑んだ。

「虎杖くんは?」
「小僧は普通に寝てる。」
「たまに夜中に勝手に変わってるの?」
「……。」


沈黙。きっと肯定の意味だ。

「早く寝ろ。」
「…眠れないの。最近。」

宿儺は興味なさそうにぼーっと月を見上げていた。


「色々…考えちゃって。」
「…。」


一方的に話をするのは平安の時から変わらない。
宿儺は本当に話をしたくない時は怒るし、どこかに行くから、こうしてそばに座ってていい時は基本的に、私の話を聞いてくれる。

/ 423ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp