第20章 もう一度貴方と (番外編3の2)
次の日、五条は運動場のベンチで項垂れていた。
「ねぇ、五条先生おかしくね?」
「いつも通りだろ。」
「あの人おかしくない日ある?」
運動場の中心で五条を遠くから見ながらこそっと言う虎杖に対し、伏黒と野薔薇は視線も向けずストレッチしながら言い放った。
五条は仕舞いにはベンチに横になって手足をだらんとし、空を見上げていた。
「生徒が困ってるぞ、悟。」
「……傑。」
「報告書みた。」
夏油が五条のいるベンチの後ろでそう言った。
昨日、と神社に行った報告書のことだろう。
「2人きりだったわけだし、もう仲は戻ったのか?」
「……。」
夏油がニヤニヤしながら言うと、五条は口元を歪ませた。
「まさか…まだ?」
「うるせぇな。」
「お前、前の時はすぐ手を出したくせに?」
「それは傑が変なことするからだろ。あー、もううるせぇ。」
「悟のことだからさっさと告白して押せ押せで押し倒してるかと思ったよ。」
腕を組み、夏油はククッと笑った。
「そのつもりだったよ。」
いつもと違う様子の親友の様子に夏油はベンチの五条を見下ろした。
「…そのつもりだったんだよ。」
「……。」
むすっとしてる五条に夏油はため息をついた。
「を前にすると、言えないんだよ。」
「へー。」
「なのに…。」
五条は起き上がりベンチに座った。
昨日のへの最後の言葉を思い出していた。
「なのに、に“なんで忘れたんだ”って責めてしまった。」
「悪手だな。」
「が昔と同じようなことばっかり言うからさ。」
「当たり前だろ。なんだから。昔も今もおなじじゃないか。」
「そーなんだけどさー。」
「その時はなんて?」
「何も言わなかった。」
後ろから抱きしめられ、五条に“なんで忘れたんだ”って言われたは、聞こえないふりなのか、何も言わずただハクに乗って空を飛び続けた。