第20章 もう一度貴方と (番外編3の2)
「あの……五条さん?」
「んー?」
しばらく夜の上空を2人でハクに乗って飛んでいると、が前を向いたまま小さく言った。
「記憶が変になっちゃって…私的には前とそんなに変わらず過ごしてるつもりなんですが、……その、五条さんは何か変わりました?」
「え?」
「いや、質問の仕方間違えた!違うんです!」
もしかして、恋人だったと知ってしまったのだろうか。
「えっと……携帯の履歴が、五条さんばっかりだったから…」
ボソボソと言うが可愛くて、つい肩を震わせて笑ってしまった。
愛し合ってたよ。
任務以外の時はよく電話もしたし、しょっちゅうオマエの家に行っては、縁側でだらけきってた。
プロポーズだってしたし、された。
ずっとこれから先も笑い合うと思ってたよ。
でもそれを言うとは困るだろ?
「まー、仲良かったからね。」
「仲…」
「僕は高専にいて、結構しがらみだらけだったし、その点は術師ってわけでもなく、よく僕の話聞いてくれてたからね。僕にとっての避難所だったんだよ、や傑は。」
「……あの…」
は困ったように俯いた。
前のようになれなんて言わない。
「。記憶がなくなったって関係が終わるわけでもない。いいんだよ。そのままで。無理に仲良くしてくれとは言わないし、普通にが思った通りにしてくれたらいい。」
後ろからな頭を撫でてやる。
さらっとした髪の毛といつもの香り。
抱きしめたい。
は僕の言葉に安心したように振り返った。
「私も五条さんと仲良くなりたいです。これからもよろしくお願いします。」