第20章 もう一度貴方と (番外編3の2)
【五条side】
僕がを抱え、ゆっくり降りて行くと、落ちていく感覚に少し緊張しているのか、指先で僕の服を掴むの姿にニヤついた。
本当なら軽く触れるだけで浮かせることができるのだが、下心満載のための腰に手を回し心配を装い引き寄せた。
降りていく途中で屋根の矢を回収し、神社には明日の朝報告するとが言った。
「五条さんもありがとうございました。」
「いや、ほとんどの力だよ。お疲れさま。」
わざとらしく優しく声をかけ、頭をポンと撫でてやれば、は少し照れたように微笑んだ。
ーー…もう心臓は繋がっていないからの鼓動はわからないけれど、きっと彼女のことだから緊張して鼓動は高鳴っているんだろうな。
「あ、五条さんも乗りますか?」
「車?」
高専になら瞬時に移動はできるが、とドライブならいいかもしれないと、期待したがは首を振って笑った。
「ハクです。この子の背中に。」
いつのまにか出てきた大きな灰色の犬は、の後ろから僕を見つめていた。
「へぇ。いいね。重くないの?」
「前に聞いたけど平気みたいです。ここからなら空を飛べるから1時間くらいで着いちゃいますよ?」
僕なら数秒。
なんて野暮なことは言わず、僕はの提案に乗った。
と2人で過ごす貴重な時間だから。
の後ろに乗り、ハクは飛び上がった。
ハクの背中に二人で乗って、上空を駆けていく。ゴーゴーと耳元で風の音がした。
「少し冷えますか?大丈夫ですか?」
「が温かいから平気。」
の背中に密着しての頭の上から話しかけると、みるみると耳が赤くなっていた。
ーー…変わらずだ。こういうところが可愛い。
お腹に手を回し、耳にキスをして、首に噛み付いたい。
数週間前ならやっていた。
ーー…。早く僕を好きになってよ。