第20章 もう一度貴方と (番外編3の2)
神社に参拝にきた人間たちの声を聞き続けた神様。
純粋な願いだけでなく、人間の汚い全ての声を全部受け止め、聞いていた。
「人間って、聞いてもらうだけで案外スッキリするもんなんだよ?全部受け止めてくれてありがとう。もう大丈夫だから…」
私は五条さんに腰を支えてもらいながら上空で弓を構えた。
上から鏡があったであろう方向に向かって矢をもう一度放った。
矢は屋根に刺さり、途端中で凝縮されていたであろう呪いがそこから溢れ、人間の断末魔のような獣の鳴き声のようなものが響き、黒い澱みとともに消えた。
「ね?の気持ちだけで浄化の出来たっしょ?」
すぐ近くの五条さんを見上げ、にかっと笑う彼の笑顔に私もつられて微笑んだ。