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【呪術廻戦/五条】嘘がつけない

第20章 もう一度貴方と (番外編3の2)



さっきまであった澱みは1度目の矢で消え去っていたため、神殿の中の方までしっかりと見えた。


奥の方にちらりと見える鏡。


きっとあそこに溜まっている呪いがあるはずだ。



何年も何年も少しずつ溜め込んだ呪い。



凝縮された深く黒い呪いーー…。




私はそれを見つめ、矢を放った。




しかし光の矢は当たることなく手前で跳ね返り、下に落ちてしまった。



「うーん。かなり濃いね。凝縮された呪力はかなり強力だから。」


五条さんは顎に手をやり悩んでいるようだった。


「…ごめんなさい。」


五条さんの手にかかればすぐ終わらせれる案件だ。
きっと簡単に祓うことができる。しかし、鏡ごと神様も全部祓うことになる。


五条さんは、鏡は残し神社にいた神様は残したいという私のわがままを聞いてくれてるのだ。


「何が“ごめん”なの?のいいところでしょ?」

「……。」

そんなこと言われるとは思わなくて私が瞬きを繰り返していると、五条さんが私に手を伸ばした。


「おっと、危ない。」


鏡から突如飛び出してきた呪力に攻撃され、五条さんは私を引き寄せ空に飛び上がった。


「わっ…!」

腰に手を回され空を飛んでいる状態に私は驚き、落ちないよう慌てて五条さんにしがみついた。



ふわっとかおる五条さんの服の香りに私は心臓が飛び出しそうになった。



ーー…わっ…ちかっい!


五条さんの背中に手を回し、しがみついていると五条さんはくくっと笑った。

「僕の術式があるから手を離しても大丈夫だ。」
「…っえ、あっ!」


上空の風に飛ばされやしないかと緊張しつつ、私はゆっくり手を離した。

五条さんの手のひらが私に触れてるだけで、私は宙に浮いていた。



「。もう一回。」

低く優しい声が響いた。


「大丈夫。がどうしたいのかもう一回考えてやってみて。」




…私がどうしたいのか。


私は上から下の神社を見下ろした。




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