第20章 もう一度貴方と (番外編3の2)
私は五条悟という術師を甘く見ていた。
「ーー…すご、い。」
私が放った矢から逃れた呪いが集まり、こちらに攻撃を仕掛けてくるよりも前に、五条さんの手によって一瞬で祓われていた。
「…特級…術師。」
ぽつっと声が出ると、五条さんは振り返った。
「あれはまだ大したものじゃないね。奥にまだいる。」
私では感じとれなかった呪力を五条さんは見えていたようだ。
さっきのも私1人じゃ難しいものだったけれど、それ以上にまた奥に呪いが籠っているらしい。
「…は出来ればカミは残したいんでしょ?」
私のやりたいことを五条さんはわかっていたようで、私は頷いた。
「そうだねー。今呪力も矢に乗せて放ったでしょ。」
「はい。」
「それをやめてごらん?」
「え?」
呪力と浄化を混ぜた方が強力になるはずなのに。
五条さんは私の前に立ち、目隠しをくいっと下げ私を見下ろした。
あまりの綺麗な瞳に私は目が離せなくなった。
「やっぱりは白く綺麗だ。」
「…えっ!?」
白くて綺麗だなんて言われて私は慌ててしまった。
そんなこと言われたことがない。
「の呪力はそんな感じ。」
「…あ、はい。」
呪力のことか…
私は勘違いしたことが恥ずかしくて目を逸らし、顔を隠した。
「だけど、やっぱり呪いの力だから。浄化の力のみに頼ってごらん。前はそうだった。」
「浄化だけでーー…。」
「は優しいから。カミだけでも残したいという気持ちはきっと届くはずだよ。」
目隠しを再びつけた五条はにこっと笑った。
私は五条さんの言葉を信じ、もう一度本堂に目を向けた。
あの奥にもっと濃い呪いが残っている。
私は深呼吸をして、右手で矢羽を持った。