第20章 もう一度貴方と (番外編3の2)
私は自分の言葉に戸惑った。
それは傑さんもだったようで、すこし驚いたように私を見ていた。
「…忘れたって聞いてたけど、覚えてるんじゃないか?」
「……五条悟さんって人?」
宿儺にも“忘れたのか?”って言われたし、まるで私と親しいようにここに来ていたと言っていた五条さん。
私は自分の膝を視線を落とした。
「…覚えてないの。」
「……。」
「モヤがかかったみたいに変な感じがするの。思い出そうとすると頭が痛くなるの。」
「子供たちと一緒に京都行ったの覚えてる?」
「それはもちろん。覚えてるよ。……覚えて…………。」
傑さんは教師ではない。
じゃあ、なんで研修旅行で京都に行ってるの?
私はなんでついていってるの?
一緒に桃鉄して……二人で?
「はここに住む前、どこにいたの?」
「それは…一人暮らし…で……あれ?」
私は頭を押さえた。
「あれ…?」
ずきずきと痛い。
「ごめん、。頭痛いなら考えなくていい。無理に思い出さなくていい。」
「…でも。何を忘れてるのかもわからないの。」
五条悟って人以外のことも忘れてるのだろうか。
痛いーー…
「いいさ、忘れてたって。悟もこれから知ってもらうって言ってたから。無理しちゃダメだよ。」
「うん……。」
でも、なんで五条さんって人のことを忘れてしまったのだろう。
「その五条さんは…あの五条家の人なの?」
「そうだよ。現当主。」
「わぁ、じゃあ偉い人だ。次あったらちゃんとご挨拶しなきゃだね。」
「ーー…そうだね。」
「私、急に家に来て目隠しとかしてたから、怖くて攻撃しちゃったの…。それも謝りたいな。」
「またここに来るよう伝えとくよ。」
「え!?いいよ!五条家の御当主様をわざわざ呼びつけるなんて悪いから!また私が高専にいくよ。」
傑さんは優しく微笑んで私の頭を撫でた。
「じゃあ、僕はの様子見たかっただけだから帰るよ。」
「そういえばどうやって帰るの?」
「呪霊に乗ってね。」
「岡山からだと時間かかるでしょ。」
「まぁね。」
「上空は寒いから毛布一枚持っていって!」
「ありがとう。…確かには変わらないな。良かった。」
毛布を受け取りながら傑さんは微笑んだ。