第19章 もう一度貴方と (番外編3)
「っっは!!」
私は息を思っ切り吸って目を開けた。
「…なに。」
私はぐるぐる回る頭の中を整理しきれず、吐き気を催していた。
「。」
「あれ、宿儺。あそうか、今は受肉体なんだっけ?可愛い格好しちゃって。」
私の言葉に宿儺は驚いたように目を見開いた。
「小娘。……阿曽巫女か。」
「んー、阿曽巫女の記憶を思い出した。ーー…かな。」
「……。」
「だから、この身体のの記憶もちゃんとあるよ。前世の記憶を急に思い出した感じ。あー、頭痛い。一気に思い出したから頭重いよ。宿儺は呪力少ないねー!指どこあるかわかんないんだっけ!ごめんね!あっちこっち封印しちゃって!」
「…相変わらずやかましい女だ。」
「貴方も相変わらずずっと怒った顔してるのね!」
あはは!と笑って宿儺の頭を撫でようとしたけど、ぱしっとはたかれた。
「触るな。」
「んもう。」
赤くなった手の甲をさすりながら私は自分の家に向かった。
せっかく作ったお魚はきっともう冷めてる。
「ご飯、宿儺もたべてく?」
「…いらぬ。」
「そっか…残念。でも私の家来る時はぜったいその弱い呪力抑えてきてね。じゃないとうちの子たちが力に負けて消えちゃうから。」
「弱いとはなんだ。」
ピキっと眉間に皺を寄せ、宿儺は私を睨んだ。
どんな身体に受肉したとしても相変わらず怖い顔だ。
「だって、指全部揃ってないんでしょ?平安の時より弱いじゃん。」
「貴様よりあるわ。」
ふんっと鼻を鳴らす宿儺に私は笑った。
「呪力を無意識に抑えてただけで、使い方思い出した私は強いぞっ!えっへん!」
私は抑えていた呪力を溢れさせた。
まぁ、偉そうに言いはしたけれど、呪力量は宿儺に及ばはずもない。
ただの強がりだ。
「…呪力と浄化を合わせ戦えば、あの五条悟を怯ませるくらいはできるかもな。」
「ごじょうさとる?」
急に出てきた知らない名前に私は首を傾げた。
私の言葉と態度に、宿儺は目を細めた。
黙って私を見ている。
「平安の時の人?誰だっけ…。」