第19章 もう一度貴方と (番外編3)
家から遠ざけ、少し離れたところにきた私は、宿儺の顔を覗き込んだ。
「で、どうしたんですか?」
「別に。」
別に?
何も用もないのに我が家に来るはずがない。
「犬の気配がしたから来ただけだ。」
「犬…?あ、ハクのことかな。」
ハクは私についてきていて、私に擦り寄っている。
「…ハク。あの時と同じ名をつけたか。」
「あの時?」
「平安の時もそいつはいた。お前の横に。同じ名をつけよって。白じゃなく灰色じゃないのか。」
阿曽巫女のことだろうか。
私はハクのおでこを撫でた。
「やはり、お前は阿曽巫女の子孫なだけでなく生まれ変わりなのだろう。」
「…え?」
「あの神社の鳥居をくぐった事も、犬を連れてきた事も、全てはあの女がこの日を待っていたのか。」
くくくと笑う宿儺に、私は何を言っているのかわからなくて、不信感しかなかった。
「。」
宿儺に呼ばれ私は急に酷い頭痛に膝をついた。
「あの巫女と同じ名なのも、因果だったのだ。」
「…うっ……い、いたっ……」
ズキズキして、頭が割れそうだ。
「た…すけ……て……さと…るさん…」
息も上手く出来なくて、私はうっすらと見える赤い靴を見ながら意識を失った。