第19章 もう一度貴方と (番外編3)
【side】
悟さんが海外に行くと別れてから3日が経った。
別段変わったこともなく、平和に過ごしていた。
いや、変わったことはある。
「わんこくん。キミ、エサとかいらないよね?」
リビングにどーーんと丸まって寝ている灰色のわんこ。
あまりのデカさにリビングの半分埋まっている。
水を飲んでる様子も何かを食べてる様子もない。
たぶん必要ないんだろう。
「わんこくん…呼びにくいから名前つけてもいいかな。」
私がつぶやくとわんこは顔をあげ私を見た。
「んーーー、キミがいたであろう神社の名前からとってハクでいいかな。灰色だけど。」
小さくわふっと鳴いたわんこはなんとなく満足そうにみえたから、私はそのままハクと呼ぶことにした。
「んー、今日のご飯も美味しっ。」
自分で作った煮魚を自画自賛しながら食べていると、ふと呪霊たちがざわざわとし始めた。
怯え逃げていく呪霊と、私の横で未だ伏せているハク。
「久しいな小娘。」
「…宿儺。」
ガラガラと窓を開け、勝手に入ってくる宿儺には眉を寄せた。
高専の制服を着たままの宿儺に、私は虎杖くんが心配になった。
「虎杖くんは…?」
勝手に変わったのか、また彼の足を潰して強制的に主導権を変えさせたのだろうか。
「何も知らないのか。」
「…?」
「最近はよく変わっている。むしろ呪力や術式について手解きをしてやっている。」
ーー…知らなかった。
「小娘のそばにいすぎたな。」
「どういうこと?」
「……。」
宿儺は何も言わなかった。
私のそばにいたから…?
もしかして浄化してしまったのだろうか。負の感情だけを。
「でも、とりあえず土足は困るから出てくれる?」
私は立ち上がり宿儺の肩を押して庭に出させた。
呪力を抑えたり、未だある禍々しい邪悪さを抑えたりなんて、繊細なことをするはずがない宿儺をこの家から遠ざけたかった。