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【呪術廻戦/五条】嘘がつけない

第19章 もう一度貴方と (番外編3)


怒りというより不審者を見るかのようなの目。

五条は眉を寄せ、目隠しを下ろした。

「誰って…わかんない?」

一歩近づくとは、弓を強く引き、矢先を五条に向けた。


「知らないっ!近寄らないで!貴方の呪力…強くて…怖いっ!」



怯えるような声と表情。


「……。」


五条は青い目を凝らしを見つめた。
そして部屋の中、庭、全てを調べるように視線を向けた。


「……何もない?」
「何を言ってるの?…誰なの?」


術式や呪力の動きなどは、ないように見えた。
五条は手を上げにっこりと笑った。


「ごめんごめん。一応君の知り合いなんだけど、覚えてない?ちゃん。」
「…知り合い?…記憶にないけど…私の名前を知ってるの?…。」



は汗をかき、それでも警戒を解かないよう緊張状態にいた。

「記憶を無くしたの?」


五条は手を上げ、に警戒されないようなるべく笑顔で接していた。





「そんな…はずはないけれど…。」

「でも僕を覚えてないんでしょ?」


は五条の言葉に目を細め、じっと見つめたあと首を振った。


「…ごめんなさい。どこかで会いましたか?」
「んー。」

五条はなぜがこんな態度をとるのか考えた。


「そうだとしても、玄関からじゃなく急に庭に来るのはどうかと思います。」
「はは、そうだね。ごめんごめん。でも一週間前にもここであったはずなんだけどな。」


はそれを聞いてもっと首を振った。





「そんなはずはないです。さすがにそれは覚えてる筈です。元の体のこの子の記憶は引き継いでるはずですから。」


「ーーー…元の体?」


五条は手を下ろし、を見つめた。
いまはなんと言ったか。

の横に別れ際にいた灰色の大きな犬が懐くようにきて、の手に触れた。


「そう、このの体。現世の体といえばいいのかな、名前が偶然同じだったんだけど、“私が生きてた平安の頃”は阿曽巫女、とも呼ばれていたの。」




「……あぞ………みこ…」


五条は縁側に立ち凛と微笑むを見上げた。

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