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【呪術廻戦/五条】嘘がつけない

第19章 もう一度貴方と (番外編3)


わんこの背中にしがみつき、ゆっくりと降りてきたのは私の家の庭だった。


足がガクガク震えながら、わんこから落ちるよう降りるとわんこは私の頬をべろっと舐めた。

舌が大きくひと舐めで顔の半分を舌が覆っていた。


「早かったよ…ありがとう。」

褒めて欲しそうに尻尾を振るわんこに私は頭を撫で、自分の頬の唾液をぬぐった。


「オマエは神にでもなったの?」

部屋の中から、笑いながら出てきたのは悟さん。
私がいない間に高専から飛んできたのか、勝手に部屋に入ってくつろいでいたらしい。



「悟さん!」


一週間ぶりだ。

私が遠い岡山の田舎にいるから、会う時は悟さんがこちらにきてくれていた。

私は縁側に立つ悟さんのところに駆け寄り、靴を脱ぎ捨てると腰に抱きついた。

「仕事行ってたのか?お疲れ。」
「うん。そしたら、この子がついてきたの。」


庭でお座りをして私達の方を見上げるわんこに悟さんも視線を向けた。


「…呪霊じゃないな。」
「あ、やっぱり?綺麗な子だよね。」


「誰かの式神か?いや、そんな感じしないな。精霊に近い感じか、最近神社とか行った?」

目隠しをおでこまで上げ、わんこを見ながら悟さんがいった。


「うん。今回の依頼は小さな村の神社だったからそこに行ったよ。」
「じゃあそこからついてきたのか。近いの?」
「うん、そこまで遠くなかったよ。確か鬼の首を埋めた神社で有名だったよ。」

このあたりの阿曽には桃太郎伝説にまつわる神社や遺跡なのが多く残っている。
今回の神社もその一つだった。


わんこはおすわりから伏せの体制になり、じっと私の目を見ていた。
灰色の毛ではあるけれど、毛並みもさらさらで本当に美しかった。


「そんなやつを連れてくるとか罰当たりだな。」
「えっ!?まずかった!?」
「くく、冗談だよ。勝手に来たんなら勝手に帰るだろ。好きにさせておけばいいと思う。」


私は焦りながらも、わんこの目を見た。

青く綺麗な目。
六眼とまではいかなくとも、美しくまるで悟さんの目のようだった。


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